7月14、15、23、24日
7月14日〜15日
松本竣介作の油絵「彫刻と女」をもとにセルフポートレイトを制作。
14日、みんなに手伝ってもらいながら背景の大きな絵を描く。絵はすでに出来上がっていたのだが、
照明で反射するため、この上にさらにパステルや色粉で色をつけ、マットに仕上げなければならない。
15日、本番撮影。朝10時過ぎからメイク開始。様々な準備に手間どり、撮影開始が遅れる。
すべての終了は午後9時半を回る。疲労限界。
7月23日
急遽、京都に「『イジチュール』の夜へ」を見に行く。
渡邊守章、浅田彰、坂本龍一、高谷史朗、白井剛、寺田みさこらによる、朗読、音楽、ダンス、
映像などによる舞台。寺田みさこのダンス秀逸。
夜夢を見る。
私は雑然とした部屋で、大勢の人を呼んでパーティをしている。
なぜか人々は全員外出していて、今は部屋に私一人だけが残されている。
私ひとりというのは正確ではない。2匹の猫も部屋には残されていたからである。
誰かのペットで、檻に入れられている。親子で、子供のネコはよく眠っていた。
かわいいので、私はそっと檻をあけ、親猫を抱いた。檻をまた閉じ、それから部屋のドアもきちっと閉めた。
もしも猫が逃げても、部屋の外には出られないようにとの用心からだった。
親猫は白と茶がブチになった元気者で、なかなか言うことを聞かないが、次第に慣れてくる。
私は子猫のほうにも気が行き、檻から指を突っこんで、ちょっと子猫をつついてみた。すると子猫が目を覚まし、
檻の柵と柵の間から抜け出した。あまりにも小さい猫だったので、柵はなんに意味もなかったのだ。
私はあわてて子猫を捕まえた。黒い猫で気性が激しかった。私の指に咬みつき、手の腹に爪を立てた。
思わず子猫から手を引いた瞬間、猫が逃げ去った。部屋には荷物が雑然と詰めこまれているため探しても
見当たらない。気がつくと親猫も姿をくらましていた。
部屋をよく見ると、二枚のガラス窓に若干の隙間がある。入り口のドアの密閉性も完璧ではなかった。
ガラス窓の隙間から外に出て、ベランダを超えて屋根伝いに逃亡することは可能だった。入り口のドアの
隙間から廊下に出ることも容易である。
外出していた客が戻って来る時間になった。ばらばらと帰って来る人達に、今日のパーティはここまでで
中断せざるをえないこと、猫の飼い主に申し開きが立たないことなどを説明した。むろん柵の幅が大きくて、
子猫が簡単に出入りしてしまえる構造であったことは、私の責任ではないはずだ。しかし私が親猫と遊んだり、
寝ている子猫を起こしたりしなければ問題は発生しなかった。そのことについては私に落ち度がある。
それにしてもいったいこの2匹の猫の飼い主は誰なのだろう。外国人夫婦であるということはわかって
いるのだが、顔や名前に記憶がない。そのことも私を不安にさせている大きな要因だった。
私は街路に出た。なんとしてでも猫を探さねばならない。
探索の途上、この町の町内会会長に出会った。なにをしているのかたずねられたので答えると、
「最近は、人間様よりペットのほうが大事がられる、おかしな御時世だ」となんだかテレビの
コメンテイターのような語りを聞かされ、「ですから、そんなもの放っておいたらいいんです」と
息巻いて去って行った。それはそうかもしれないが、しかしあの2匹はじつにかわいかった。
このことについては誰であろうと文句のつけようはない。そう納得したところで目が覚めた。
7月24日
栽培していた小さなイチゴの鉢に真っ赤な実がついた。
一日で見事に白から赤へ。
*写真は、実った小さなイチゴ