美術手帖 2012年6月号増刊
特集 フェルメール 16人が語る最新ガイド
絵に近づくKeyword 13
天体望遠鏡をのぞくようなまなざし
森村泰昌 インタビュー
pp.90-96
月別アーカイブ: 2012年6月
特集 フェルメール 16人が語る最新ガイド
絵に近づくKeyword 13
天体望遠鏡をのぞくようなまなざし
森村泰昌 インタビュー
pp.90-96
やっと画家松本竣介をテーマにした新作に着手する。
6月2日は、岩手県立美術館が所蔵する「自画像」をテーマに写真撮影。絵のような写真をめざす。モノクロ写真も撮った
のだが、こちらもなんだか鉛筆デッサンのようでおもしろい。
3日は、同じ竣介の絵をもとにビデオ映像の作品を作る。昨日と同じように油絵のようなメイクをした私が、松本竣介の書いた
文章の抜粋を何編も読み上げるという趣向。ただし実際の作品はサイレント。松本竣介は耳が聞こえなかった。
沈黙、無音は重要なテーマである。口の動きから語る内容を読み取れる人はあるかもしれない。すべて文集「人間風景」の
中からの抜粋である。「動く絵画」「語る絵画」「サインレント イン モーション」、いろいろなタイトルを想うがまだ決まらない。
*写真は、2日に撮影したポラ写真。
2012年 7月号 (執筆・連載)
『近代洋画の開拓者 高橋由一』展
あまりに有名な《鮭》。西洋美術にも前例のない油絵を開拓した洋画家 p166-167。
現在、横浜美術館で開催中の「マックス・エルンスト」展広報企画として、
森村が応援メッセージを寄せています。
http://www.yaf.or.jp/yma/assist/200/
25日午前中、母親の病院行きにつきあい、午後東京へ。
明日26日に、松岡正剛さんの催し「連塾」の最終回を迎える。
私はそのゲストで出演するのだが、これは完全に秘密にされている。
サプライズを演出するとのことである。
品川からタクシーで会場のスパイラルホールへ。アザブやヒロオを通ってオモテサンドウへ。大阪に住む私には東京がいつも異国に感じられる。
スパイラルホールに到着後、メイクをはじめる。ラルテの松本良輔さんがメイクを担当。なんと私は「松岡正剛」に扮して舞台に立つという趣向なのである。メイク完成後、リハ。声は影でセイゴウさんがやる。私はクチパクであたかもしゃべっているかのようにふるまう。
明日の「連塾」は約6時間。全体のリハは延々続く。私のパートのリハは一回のみ。明日はほとんどぶっつけ本番である。
26日本番。この日は、私の他にお能の安田登さん、服飾デザイナーの山本輝司さんがサプライズゲストで登場。熱気と最終回という独特の雰囲気のうちに無事終了。松岡正剛さん、山本輝司さん、そして私が壇上に登場し、ヨウジさんがセイゴウさんと私に、ヨウジデザインの衣装を着せてくれるシーンがある。本人に着せてもらうなんてなんとゼイタク。衣装はハカマであった。
*写真は、向って右が本物の松岡正剛さん、左が「松岡正剛」としての私
27日、佐谷周吾さんに迎えに来てもらい、西麻布のルベインに行く。京表具師の村山秀紀さんの個展を見る。真っ白な空間に軸装された作品が浮いたように見える。いつもすばらしい色彩感覚。
そのあと銀座の資生堂ビルに行き、来年予定の資生堂ギャラリーでの個展の打ち合わせを終えて帰阪。
「松岡正剛」に扮するためには、つけ眉毛も必要だった。そのつけ眉毛をあわててひっぱがしてしまったため、私の眉毛も一部一緒に抜けてしまった。ちょっとヘン。
*写真は、帰りの新幹線車窓からの夕陽