東京都写真美術館ニュース「アイズ’09」
64号 東京都写真美術館・発行 (インタビュー)
2010年3月から開催される個展に合わせて、森村が「なにものかへのレクイエム」
シリーズについて語っています。表紙ともに新作図版掲載有。pp.1-4
月別アーカイブ: 2009年12月
64号 東京都写真美術館・発行 (インタビュー)
2010年3月から開催される個展に合わせて、森村が「なにものかへのレクイエム」
シリーズについて語っています。表紙ともに新作図版掲載有。pp.1-4
2009年12月10日 (執筆・連載)
クロスボーダー REVIEW
美術家・森村泰昌が見た映画 「戦場でワルツを」
朝9時からメイクを始める。今日は女性ふたりを演じ分ける。
11時にスタジオにメンバーが集まり、撮影が始まる。夜までかかるが、さほど遅くにはならなかった。「1945年ドイツ」の撮影は順調といえば順調であるが、もうこれでこの作品のために四日間撮影を繰り返している。まだ背景の建物(壁)が残っているから、計5日かかって撮影し、やっと一点完成させる素材が出来た事になる。後はこれらをコンピュータ合成(約40素材の合成作業である)し、プリント、額装‥‥まだまだ完成は遠い。
*写真は朝の誰もいない仕事場
「1945年ドイツ」作品の、前面に来る人物3名を演じ分けての撮影。
男性の役で、東京のラルテの石川さん来阪、カットをお願いする。やっと伸び放題の頭が短くなった。何で頭髪が必要となるかわからないから、制作中は、おいそれとカットできない。
今日はセッティングと撮影はワンカットのみ、午後8時くらいに終了。
すばらしい天気。体調はすぐれないが、空の青さはすごい。
*写真は雲一つない12月2日の青空
12月4日 露地庵先生のアンポン譚 7面 (執筆・連載)
第三十三話 言葉を操る達人 写真:佐々木節雄遺作展会場風景 10月31日撮影
昨日の撮影の続きを私の仕事場で行う。もう群衆シーンは終わっているので、少人数での撮影である。
夜、夢を見る。
私は不正乗車のためにいろいろと事情聴取を受けることになるのだが、私自身は、「不正」であることの理由がよくわからず、まったく罪の意識が感じられない。聴取する者といろいろやり取り(=会話)をしている内に、「罪と罰」についての討論となる。
罪と罰の関係はいろいろである。罪を犯した人間がその罪深さを感じているなら罰は意味がある。しかし、例えばある三叉路にさしかかり、右に行くのも左に行くのもたいして変わらないのに、なぜかたまたま、右に行くのが正しく、左に行くのは批難されるというケースもあるだろう。そんな時、右に行くといいが、左に行くほうを選んでしまうと、それは罪となり罰が与えられる。こういうケースを考慮に入れるならドストエフスキーの「罪と罰」も、現代的な改変が求められるのではないか‥‥などと私は得々として語る、そんな夢だった。