10月30日

東京に行き、山種美術館で速水御舟展を観る。本物を観てわかることがある。
たとえば、御舟は思ったより、薄く描いているような印象を受けた。なんだかみんな下絵のような感じである。だから、ほんとうに下絵である最晩年の大きな婦人群像も、逆に下絵なのに完成された絵のように見える。ほとんどの絵が未完成に終わったレオナルド・ダ・ヴィンチを思い出した。
しかし以降、御舟に影響を受けた日本画は、みんなこってり厚化粧になって完成される。速水御舟を受け継ぐとは、はたして未完成なるものを完成に向かわせることなのだろうか。

午後3時から東京都写真美術館でレクイエム展カタログの打ち合わせ。
速水御舟展と写真美術館の客層の違いがはっきりしているのが面白かった。